公立保育所のありかたに関する懇談会意見書(案)に対する意見

横山まち子

はじめに

 この懇談会は、本来、公立保育所のあり方に関する懇談会であったはずです。しかし、市財政のきびしさを前面に出し、「少ないコストで大きな効果を得るにはどうあるべきか」「公立保育所でなければできないことを10個あげなさい。すぐでなければ3個でもいいです。」など、公立保育所の民営化を進める会議ではないかと感じるものでした。たとえば、第3回会議で、関川会長は、「行政経費の削減だけでなくて、民間に委ねるということの趣旨は、ご指摘していただいたスピードです。、、、(中略)、、、一社会福祉法人の経営者の、ご判断でやらなきゃならないやろうといった場合には、個別二一ズの対応への意思決定が非常に早い、事業展開が早いというのがひとつのメリットになるだろうというふうに思います。(会議録p12) 「民間ならではの強みが発揮できる公立保育所の移管場所というのは、マーケティングの立場からこういう規模で、こういう敷地で、こういう定員で、こんな多様なにニ一ズがある立地条件だったら、公立ではないものがつくれるという立地条件の問題がありますか」(p30)「公立の残す場合なら(中略)民間の強みをなかなか発揮しづらいですよね」(p31)などと発言されています。このことからさらに公立保育所のあり方に関する懇談会とは名ばかりで、公立保育所を民営化するにあたり、市民のみなさんの意見を聞いたという形式をふむための懇談会なのでは、司会を務められた関川会長は、中立の立揚のはずなのに、そうにはなっていないと、強く感じる懇談会でした。また、4回の会議の中で、約2時間遅刻をされました。意見書案がでた4回目の会議では、1時間30分の遅刻です。

 また、副会長の林先生は、会長を補佐する立場にあるにもかかわらず、20054月以降の会議には、留学のため出席できないことを4回目の会議ではじめて知りました。そのことは、事務局である児童福祉も承知のうえのことでした。

 また、広報での会議のお知らせ時間に間違いがあり、訂正を求めたところ、ホームページでお知らせしたとの由、まちがって午後から傍聴にこられた方もあったと聞いています。どこまで市民のことを真剣に考えた懇談会であったか、本当に疑問です。

 また、子育て世帯へのアンケートなど、ニーズ把握も不十分なままです。これらをすべてふまえて考える時に、充分論議を尽くさないまま公立保育所の民営化促進提言とも聞こえる意見書を委員の意見として提出するには、あまりにも性急すぎるし、この内容では納得できません。

 

具体的内容に入ります。

1P3

2、茨木市の財政状況より

市の財政に関すること'は、市全体の財政を見直すべきものであると思います。公立保育所があったことで財政難になったのではない。なぜそうなったのか、ほかにも見直さなければならないところは、安威川ダム計画、彩都計画などなど、あると思います。

 また、定員120名の公立保育所一箇所を民営化すると、8.900万円、人件費歳出が削減されると言うが、市全体の実質的歳出削減額は小額であり、経費節減も期待できません。公立保育所を民営化して保育行政を犠牲にするのは正しい選択ではありません。反面、財政難と言いながら(参考資料によると)北摂でも財政状況が悪いとはいえません。

 

2のこどもをとりまく環境で

 今、保育、子育てにお金をかけることは、いかに大切かはのべられているとおりです。こどもをとりまく環境のきびしさを認識しながら、財政難だから民営化するというのは納得いきません。財政難以外に、公立保育所を民営化する必要性の根拠をのべてほしいと考えます。

 

p7の公立保育所と、:私立保育所の比較について

ア、運営費差40,422円。この差をどう考えるかです。

まず、この差はどこから生れてくるのか。民間保育園だって公立保育所とおなじような年齢配置にしたらおなじようなコストがかかる。経験がない若い保育士が悪いと言っているのではなく、こどもが育つ上でいろんな年齢の人がいるということが大切なのです。また、人件費を安くするということは、ながく働き続けて知的財産を積み重ねるということがむずかしく、このことは保育士の専門性を否定することとなります。こどもたちの発達保障をどうしようとしているのか明確にしてほしいと思います。他市で民営化された保育所では、経験豊かな保育士が少なく、保育現場が混乱し、こどもたちが大変な状況にあります。

 40,422円の差は、民間保育園の補助金を引き上げる方向で解決するなど、未来への投資と考えればどうにでもなる額だと考えます。

 茨木市保育行政の歴史は、1960年代では民間が草創期の先駆的役割を果たし、70年、80年、90年代の需要急増期、安定期は公立が主導的役割を果たし、その進展に大きく寄与してきました。この間、公私協調して保育需要の増大に対応してきたことが、今日茨木では他市に比較して「待機児童」が少ない市とされています。こうした歴史と伝統を堅持するとともに、新たな時代の要請や子育て環境の変化に対応するため、公立保育所が従来の通常保育とともに子育て支援施設の役割も果たし、また民間保育園については、国、府の施策の後退や財政的制約から、依然存在する「公私間格差」是正のために、茨木市は一層の財源措置を講じてください。

 

 p8私立保育所への補助について

公、私立の連携と協調による円滑な運営につとめてきた。そのため、私立保育所の運営の補助及び保護者にも補助してきたとありますが、公立保育所を民営化したら、この補助金も切ると読み取ることができます。「民でできることは民で」といいながら、民間の補助金制度まで変えようという考えがあるとしたら絶対に許せません。

特別保育事業等

延長保育事業(保育時間)について、私立保育所7時〜21時とありますが、これによると、全ての私立保育所で実施しているように受け取れます。事実とちがいます。訂正してください。公民の事業比較では、民間が優位なのは一時保育事業のみです。にもかかわらずp10では、むしろ私立保育所のほうが総じて延長保育の実施など地域の多様なニーズに柔軟に応える取り組みが進んでいるとあるのはおかしいと思います。ここも訂正してください。

 また、同p10によると、通常保育の質について、公私間に大きな格差は現在存在しないとあります。それは何をもって根拠にされたのか、具体的に示してください。

 また、乳幼児を保育する保育所において、保健職や、心理職などの専門職は不可欠ですが、請求した資料によると、格差があります。こうした事実も明らかにすべきです。

 加えて、「今後、公立保育所を存続させるならば、“民でできることは民にまかせる”ことを原則として、公立保育所が担うべき役割の範囲を特化、限定し、高コストに見合った公立保育所に相応した役割を明らかにする必要がある。」とありますが、民間保育園に通うこどもたち、保護者の要求や権利をどう実現していこうとしているのか見えてきません。今の現状の中で、民営化を受け入れ、今まで以上の保育を(運営費や補助金が削減されていくことも含め)する現状があると分析されているのか、民間にまかせたらなんとかなるでは無責任だと思います。

 

 さらに、障書児保育については全く論議していないにもかかわらず、意見書案にはいきなりp12で「ノーマライゼーションの立揚からセンターとして位置づけ・・・」として出しています。障害児やその保護者の立場に立っているとは思えません。ひとりのお母さんに話をうかがいました。「2年前に茨木で障害児保育がはじまり、療育園の医師のすすめもあり、公立保育所に入れてよかった。健常児とのふれあいがこどもにとっても、親にとっても大切です。担当課は、集団の中でどうこどもが育っていくのかとか、現場の努力が見えていない。」など、議論もなく意見書の中だけで話が進んでいくことは危険です。

 

 p12に印刷物を1枚もらっただけの「総合施設」や、まったく論議もされていない「指定管理者制度の活用」の提案などがいきなり出されています。これは会長の私案であり、懇談会からでてきた意見書案とはとても言えません。

 

 在宅家庭への支援事業もセンター機能を併せもつ施設にとの考えがあるようですが、これも市民の立場に立てていません。本当の子育て支援は広域的ではできません。支援は地域に密着していなくてはできない。困ったときにすぐに駆け込める所になくては支援はできないのです。このことは、長年子育て支援に関わってきましたので確信をもって言えることです。地域子育て支援で大切なことは、地域に根を張り地域力をつけ、身近に相談できる人を育てていくこと、子育て力をつけていくことです。子育てに悩んでいる人がいたら声をかけられる人を地域にひとりでも多く育てることが大切です。茨木でも公立保育所の地域在宅家庭の

人たちに向けての所庭開放には、たくさんの親子が参加しているそうです。

 また、保育の機能と、子育て支援機能は一体なものです。言い換えれ,ば、子育て支援機能は日々の保育の積み重ねなくしては進んでいきません。地域の保護者は食事のこと、食べさせ方、薄着のこと、あそばせ方、発達のことなど様々な育児不安をかかえています。そんな中で保育所のこどもの姿や、保育者の子どもたちに関わる様子を見ながら学んでいます。保育者も地域の保護者の方と接することで子育てのニ一ズを知り、それに応えていこうと努力をしています。今の保護者たちの育児不安を考えたら、「センター化」などとんでもないことです。

 今ある公立、民間共同ですすめてもまだ足りないと言っても過言ではありません。そのネットワークの核になるのが公立保育所の役割です。

 

9大阪府下における公立保育所の民営化について

 とありますが、民営化が実施、計画された市はあるが、吹田市や八尾市などの状況は書かれていません。もっと府下的な調査をすべきで、これでは偏ったものです。

 

 p12結果的には民間委託することが必要と結論づけているが、民営化がこどもにおよぼす影響が一言もないことが茨木保育連事務局長としてだけでなく、一人の市民としても信じがたいものがあります。こどもたちに及ぼす影響や、府下でも裁判がされている現状なども調査し、事実として意見書に記すべきです。

 今こそ本来の公立保育所のありかたを論議すべきです。こどもにとって、保護者にとって公立保育所がどんな役割を果たしてきたのか、また、公立でも市民のニ一ズに対応すべき事業展開をするにはどうしたらいいかなど、そのあり方こそ論議すべきです。

 また、茨木市の公立保育所の保育士や、労働組合とも労働条件や、今までの課題もふくめこれからの保育行政に展望がもてるような話し合いをすることも必要です。

 茨木の公立保育所の卒園児である我が子も22歳となりました。成人式以来、たびたび保育所や学童保育の同窓会といっては集まっています。核家族の中で少ない兄弟の中でそだっているこどもたちですので、保育所などで生活を共にした仲間は兄弟のように思えているのだと思います。しんどいことも楽しいことも悩みも出し合える仲間を地域にもつこどもたちは幸せだなと思います。まさに保育所は“人が育つところ”です。この市民の財産である保育所を民営化ではなく、守り発展させる方向での検討をこそしようではありませんか。

 

 他市では民営化が進んでいる市もありますが、確実にこどもたちが、保護者が、それに関わったたくさんの人が、泣き、心を痛めています。茨木から民営化の波を止めてください。

 公立保育所は、民営化や民間委託するのではなく、市民の二―ズにしっかり耳を傾け応え、拡充すべきです。

 

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